令和6(2024)年度 町政運営方針について

令和6(2024)年度町政運営方針

 令和6年能勢町議会3月定例会議の開会に当たり、令和6年度の予算編成に関連して、今後の町政運営に関する所信の一端と施政の方針について申し述べ、議員各位並びに住民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 
 まず冒頭、元日に発生した「令和6年能登半島地震」により、お亡くなりになられたお一人おひとりのご冥福を謹んでお祈り申し上げます。
 また、被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をご祈念申し上げます。

1.はじめに

  コロナ禍が一定の落ち着きを見せ、各集落では数年ぶりに行事が再開されるなど、ようやくこれまでの日常が戻りつつあります。
 あらためて、地域行事や伝統の数々に触れ、人々の躍動する姿を目にする中で、能勢町の暮らしにある豊かさを再認識しています。

 能勢町に息づく人と自然、人と人のつながりは、温もりある地域を創る営みそのものであり、時代は変わっても守っていかなければならないと考えています。

 連綿と続く集落の営みに裏付けられるのは地域力にほかならないと思っています。
 人を支え、人に支えられることで、一人ひとりが輝く地域社会が築かれてきたのです。

 今、国際社会が複合的な危機に直面する中で、私はあらためて、この里山に受け継がれてきたまちづくりの理念を大切に考えなければならないと思っています。
 住民相互の連帯によって、一人ひとりの尊厳を守り、誰一人取り残すことのない地域づくりを生きる術として実践してきました。

 この理念の下に、私は「里山未来都市」を目指していきたいと思っています。
 そして、SDGsの実現に向けた世界の潮流に重ね合わせると、私たちが先人から受け継ぎ、日常の中で取り組んできた自然との共生や包摂性のある地域づくりには、新しい未来を創る普遍的な価値があることを確信しています。

 能勢町の新しい未来を切り拓(ひら)き、この町を明日につないでいくために、守るべきはしっかりと守り、変えるべきは変える。
 この強い覚悟と信念を持って町政を力強く前進させる決意です。
 どうか議員各位及び住民の皆様のご理解、ご協力を切にお願い申し上げます。

2.令和6(2024)年度当初予算の概要

 町政の舵取りをお預かりしてから早や七年余りが過ぎ、2期目最後の予算編成を迎えます。
 まず、私の公約であり四半世紀にわたる懸念でありましたダイオキシン廃棄物については、豊能町内において地元の皆様に了解いただき、最終処分地の選定に向けたボーリング調査を実施します。
 引き続き、関係機関と緊密な連携を図り、早期解決に向けて、鋭意、取組を進めます。

 さて、今任期の取組を振り返りますと、新型コロナとの戦いに試行錯誤を重ねる日々が長く続きました。
 こうした中でも、公約である7つの基本プロジェクトの推進を図り、あわせてSDGs未来都市計画を策定することで、環境・社会・経済の持続性を柱に据え、地域資源を活(い)かしたまちづくりに全力を注いできました。

 環境分野においては、ゼロカーボンタウンを宣言し、地域エネルギー会社の設立や地域と共生する再生可能エネルギーの導入に向けて条例を制定するなど先駆的な取組にも果敢に挑戦してきました。

 社会分野においては、健康を基盤として多様で包摂ある地域社会の実現に向けて、「能勢町健康長寿事業(のせけん)」の推進や住民の移動手段を確保するために交通空白地の解消に取り組んできました。
 さらには、公共施設の再編整備を通じて、地域のふれあい創出やコミュニティの強化に取り組み、住民の皆様が健康で安心して暮らすことができる基盤づくりを重点的に進めました。
 また、子ども・子育て政策を町の未来を創る核として推進し、家庭教育支援の充実や学校給食の無償化を実現しました。

 経済分野においては、能勢町観光物産センター(道の駅)の活性化と経営の安定化に取り組むほか、既存農地の利活用により農業系企業や新たな産業用地を創出する土地利用へと舵を切りました。

 誰もが安心して、幸せに暮らし続けることができる町を創る。
 この一念で、中長期を展望し、町政の発展に全力を尽くしてきました。
 そして、これらプロジェクトの推進については、地域住民の皆様をはじめ、大学・企業などの専門家、医療・福祉関係者など多様な方々とのパートナーシップがあったからこそ、事業を大きく前へ進めることができたと考えています。
 あらためて、全ての関係者の皆様に心よりお礼を申し上げます。

 地域人材の多様性やパートナーシップの力は、町を動かす原動力です。
 これからも皆様とともに、まちづくりを共創していくために、行政職員一人ひとりが住民の暮らしに寄り添い、共に考え、率先して行動できる主体であることが求められます。
 地域に開かれた行政運営を一層推進するとともに、私自身がその先頭に立って行動する決意です。

 令和6年度の予算編成においては、これまでの取組成果を踏まえ、人口減少に対応する自治体のあり方やこれからの農業のあり方など、構造的な課題に対して果敢に踏み込み、新しい町の未来に向かって、道筋を示していきたいと考えています。


令和6年度予算につきましては

 一般会計
  56億7,300万円
   対前年度 9.5% の増

 特別会計 四会計の合計
  31億3,600万円 
   対前年度 0.4% の減

 下水道事業会計
  7億942万9,000円
   対前年度 3.7% の増

 予算総額は
    95億1,842万9,000円
   対前年度 2.8% の減です。

 以下、第6次総合計画に掲げる基本計画の体系に基づき、令和6年度予算編成の概要を申し上げます。

(1)人材育成・サイクル

 教育・人材育成を通じた取組は、地域社会の創り手を育む未来への投資です。
 予測困難な時代において、新しい道を切り拓(ひら)いていくためには、先人が残した教訓に時代の要請を取り入れ、地域から行動変容を促していくことが重要であると考えています。
 本町では、教育政策の基本方針の一つにシビックプライドの醸成を掲げ、持続可能な社会の創り手を育む人材育成に向けて取り組んでいます。
 私たち大人も主体的に学び、行動することで、子どもたちの豊かな学びを町全体で育んでいくことが大切です。
 未来に飛躍する人材育成に向けて、地域に広がる教育力を基盤に、地域と共にある学校づくりを推進します。

 児童生徒の学力向上については、全国学力・学習状況調査などを踏まえ、PDCAサイクルに基づいた取組を充実させ、確かな学力の育成に取り組みます。
 また、グローバル時代において、多文化共生教育の推進が求められています。
 主体的なコミュニケーション能力、語学力を育むため、引き続き英語技能検定(GTEC)を実施し、児童生徒の学習意欲の向上につなげるとともに、ALTや英語の専門性を有する人材等と連携し、英語教育の推進を図ります。

 生徒のキャリア発達の促進に向けては、「地域事業所インターンシップ」の実践を通じて、生徒たちが地域での暮らし方や働き方を考える機会を創出し、社会的な自立に向けた資質・能力の向上に取り組みます。

 次に、安心して学ぶことができる学校づくりに向けて、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等を配置し、児童生徒等が抱える課題の早期発見・対応につなげます。
 次に、高校連携について、高校は地域創生の核としての機能も有していると捉えています。
 府立豊中高校能勢分校では、生徒たちが地域の現場に飛び出して、課題探究学習や通学対策の研究プロジェクトなどを進められており、引き続き連携・協力して取り組みます。
 また、府内外を問わず能勢分校への地域留学を推進し、意欲ある生徒のチャレンジを支援します。

 次に、生涯教育の推進についてです。
 人生100年時代と言われる中、社会教育を基盤として、自己の実現や社会的なつながりを育んでいくことがますます重要になっています。
 住民の皆様の多様な学習・文化活動を更に支援していくために、昨年度策定した「旧庁舎周辺整備基本計画」に基づく生涯学習施設の整備に着手します。
 まずは、移転先となる旧久佐々小学校体育館施設の劣化状況等について診断を行い、新しい生涯学習施設の検討を進めます。
 また、庁舎の跡地については、憩いの広場としての利用を図るため、既存施設の解体工事を実施します。
 これら庁舎周辺施設の整備に当たっては、住民の皆様が交流し、集い、学ぶ「結びの場」として位置づけ、町の新しい魅力を創造します。

 次に、文化振興については、浄瑠璃をはじめとする様々な文化芸術の鑑賞機会を提供します。
 また、地域文化を創造する人材育成に向けて「こども浄瑠璃」の育成や能勢ささゆり学園等の教育分野との連携を推進します。

 次に、集落対策についてです。
 人口減少により地域の担い手不足が顕在化する中、集落運営の維持・活性化に取り組みます。
 特に、農業・農村資源の保全・活用については、喫緊の課題であると捉えており、集落の現状把握や話し合いを促進し、対策につなげます。

(2)健康で幸せな暮らし(ウェルビーイング)

 昨年、政府において「こども大綱」が策定され、全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会の実現に向けて方針が示されました。
 子どもたちの置かれている家庭環境は様々です。
 引き続き、子どもの未来応援センターにおいて、家庭教育支援や子どもの健康・発達・発育などの相談体制を確保し、全ての子どもの健やかな成長を支援します。

 次に、のせ保育所については、施設の老朽化が進む中で、機能面においてより良い保育環境に対応することが難しくなっています。
 より良質な保育サービスの提供に向けて、岐尼小学校跡地を有効活用し、新しい保育施設の整備を行うことで、子育て環境の充実を図ります。
のせ保育所の移転に向けた基本計画の策定に取り組み、施設整備のあり方について具体的な方針をお示しします。
 あわせて、次期子ども・子育て支援事業計画を策定し、子ども・子育て支援の強化に向けた総合的な施策を体系的に取りまとめます。

 次に、安心して出産・子育てができる環境づくりに向けては、保健師が身近な相談役となり多様なニーズに合った支援につなげる「伴走型相談支援」や「産後ケア事業」の推進を通じて、産前・産後の施策の充実に努めます。

 また、全ての新生児が「新生児聴覚検査」を受けることができるよう検査費用の一部を助成し、難聴の早期発見及び早期の支援につなげます。

 子どもの成長、発達の節目での確認となる乳幼児健康診査については、法定健診に加え、引き続き1か月児及び5歳児への健康診査等を実施し、出生後から就学前までの切れ目のない支援体制を確保します。

 次に、健康は一人ひとりが幸せな暮らしを実現するための基盤です。
 健康寿命の延伸を目指す上では、生活機能の維持・向上に向けた習慣的な取組が重要です。
 「能勢町健康長寿事業(のせけん)」では、1,000人を超える方々にご参加いただき、血圧測定を継続して実施されています。
 加えて、「いきいき百歳体操」においても、町内の各地区で取組が続いています。
 こうした背景には、大阪大学によるデータ分析や各種支援はもとより、住民相互のつながりや地域の高い自治力に支えられるところが大きいと認識しています。
 引き続き、体力測定会の実施や専門職による健康づくりのサポートを通じて、住民の皆様や地域の活動を支援し、健康意識の高い町の実現を目指します。
 あわせて、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の充実を図るため、新たに歯科衛生士を配置し、口腔(くう)機能の維持・向上に向けた地域の取組を推進します。

 また、胃がん検診については、新たに内視鏡検査を追加し、がんの早期発見、死亡率の減少を目指します。
 各ライフステージに応じて、予防を重視した健康づくりに取り組むことで、一人ひとりの生活の質(QOL)の向上に取り組みます。

 来年には、団塊世代の方が75歳以上になり、認知症の人は高齢者の5人に1人に上ると言われています。
 本町では、2030年頃まで75歳以上の高齢者人口が増加を続ける見込みです。
 地域包括ケアシステムの推進に向けて、認知症サポーターの養成や医療介護連携の強化等を通じて、地域で暮らし続けることができる体制づくりを進めます。
 また、社会福祉協議会の窓口を保健福祉センターに併設することで、医療・福祉・介護などの関係機関との機能連携を一層強化し、地域福祉の向上に向けて取組を推進します。

 次に、ふれあいプラザの運営について、退院後の在宅生活への移行など医療ニーズを有する高齢者の地域生活を総合的に支援するため、新たに看護小規模多機能型居宅介護サービスの提供を開始します。

 障がい福祉については、障がいのある方や障がいのある子どもが、自らの意思により安心して日常生活や社会生活を営むことができる町の実現を目指して、多職種・多機関による連携を強化し、第7期能勢町障がい福祉計画・第3期能勢町障がい児福祉計画に基づく取組を推進します。

(3)地域経済の活性化

 美しい農山村のたたずまいは、人々の日々の営みによって初めて生み出されるものです。
 農業後継者不足を背景に、農空間の荒廃が懸念される中で、時代の要請や地域住民の意向を反映した新しい土地利用を実現しなければなりません。
 これは町の未来に向かって、必ず成し遂げなければならない課題であると捉えています。
 特に、市街化区域に隣接した幹線道路周辺等の既存農地については、計画的に転用することで産業用地として集約化を図っていきたいと考えています。
 都市計画マスタープランの改定により、将来を見据えた土地利用の方針を示すとともに、地域の皆様と意見交換を重ね、その具体化に向けて引き続き取り組みます。
 関係各位の皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 次に、地域農業の振興についてです。
 持続的に食料を生産することは、SDGsのゴールを目指す取組でもあり、里山未来都市を形成する重要な柱です。
 人口構造が大きく変化する中で、農空間の保全や担い手の育成・支援などを一元的に担う機能や組織の存在が重要になっていると認識しています。
 現在、地域農業の中核的な機能を果たす新しい農業組織の設立を念頭に、農地の保全と持続できる農業に向けた調査研究を行っています。
 調査研究の成果を基に、必要な施策を見出してまいります。

 また、農地を保全し、集落機能の維持・向上を図るためには、多様な人材の活用が不可欠であり、引き続き、新規就農者や農業系企業などの参入を支援します。
 さらに、こうした農業者に加えて、農業を副業的に営む経営体や農業・農村に関わる人口を増加させていくことが重要であると認識しており、農的な関係人口の創出、都市との交流づくりに向けて取組を推進します。

 有害鳥獣対策については、有害鳥獣の捕獲頭数が年々増加する中、捕獲者の負担軽減を図るため、捕獲後の処分を町で行えるよう施策を構築します。

 次に、能勢町観光物産センターについては、令和7年に開業から25年を迎えます。
 この間、道路利用者へのサービス提供にとどまらず、地域農業の振興や観光・交流の中核施設として、地域の活性化をけん引してきました。
 しかし、農家数の減少や農業生産者の高齢化、観光ニーズの多様化など道の駅を取り巻く環境が大きく変化しています。
 次の10年、20年を展望し、道の駅を新しいステージへと深化させていくために、「新・道の駅構想(仮称)」の策定に取り組みます。
 当面の対応として、レストランスペースや屋外エントランスのリニューアルに取り組み、生産者と消費者を結ぶ拠点として、地域の魅力を高め交流人口の拡大につなげます。

 次に、大阪・関西万博については、北摂7市3町の自治体連携により、地域の魅力発信に向けたプロモーションの推進や万博の機運醸成に取り組みます。
 また、大阪府が実施する万博への子ども無料招待に加えて、本町独自で4歳児から高校生までを対象に2回目の入場料を無償化します。
 
 次に、ふるさと納税については、新たな財源確保に向けた重要な制度であり、本町では制度創設以来、堅調に推移しています。
 引き続き、積極的な事業推進を図り、地域の経済振興や関係・交流人口の拡大につなげます。

(4)脱炭素化・強靭化(レジリエンス)

 昨年は世界各地で記録的な猛暑となりました。
 世界気象機関(WMO)の発表では、2023年の世界の平均気温は産業革命前の平均より約1.4度高くなったとされています。
 気候変動対策は、まさに地球的命題です。
 人類が消滅しても地球は残りますが、地球が消滅すれば人類は消滅します。
 このままのペースで温室効果ガスの排出が進むと、人類と地球に対して後戻りできないほどの深刻な影響を与えることが懸念されます。

 本町では、脱炭素化の取組を持続可能な地域を創る変革の好機として捉え、エネルギー、経済、人材が循環するまちづくりの実現に向けて挑戦を進めています。
 脱炭素社会の実現に向けて、地球温暖化対策実行計画に基づき、庁舎のエネルギーマネジメントや公用車EV化の促進など、引き続き取組を推進します。
 また、地域と共生する再生可能エネルギーの導入を推進するため、「能勢町再生可能エネルギー発電事業と地域との共生に関する条例」を本年4月から施行します。
 今を生きる私たちの責任として、気候変動への対策を推し進め、脱炭素社会と地域創生の同時達成に向けて、引き続き全力を注ぎます。

 次に、森林資源の循環利用については、町有林において、人工林の適切な伐採や広葉樹への林種転換を進めます。
 針広混交林へ誘導することで、森林の公益的機能の回復に取り組み、その効果を検証し私有林への展開を目指します。

 また、ネイチャーポジティブ(注1)の実現や自然体験を通じた人材育成に向けて、自治体連携や公民連携を推進し、多様な主体・世代の参画、協働により持続可能な森林の管理に取り組みます。

 次に、防災・減災対策についてです。
 私たちの国は自然的条件により世界の中でも自然災害が発生しやすい国土です。
 加えて、気候変動による自然災害の頻発化や切迫する東南海地震など、大規模災害のリスクは常に身近なところにあることを改めて認識する必要があります。

 本町では、住民の皆様の安全・安心を守り、地域コミュニティの機能強化を図るために、旧小学校及びその周辺敷地を活用して地域防災の拠点づくりを進めてきました。
 新たに旧田尻小学校において「 (仮称)地域防災コミュニティセンター」の整備を進めるため、既存施設の解体に向けて調査設計を行います。

 また、高齢者や障がいのある方などの福祉避難所となる保健福祉センターについては、施設の大規模改修に向けた実施設計を行い、災害対応や地域福祉の向上のため、施設の長寿命化を図ります。

 次に、移動手段の確保については、地域の活力を支えるまちづくりの重要な課題です。
 この間、持続可能な交通ネットワークの構築を目指して取組を進めてきたところであり、乗合タクシーについては、本年4月の本格運行にあわせて運行エリアを東地域にも拡大します。
 これにより、買い物や通院など住民の皆様の日常の移動手段を確保し、町内の交通空白地の解消を図ります。

 また、従来の妙見口能勢線については、民間バス路線の廃止を受けワンボックス車両による代替交通を導入します。
 町内と鉄道駅を結ぶアクセスを確保し、通勤や通学などのニーズに対応します。
 住民の皆様には積極的にご利用していただき、地域の交通を共に育み、共に守っていただきたいと考えています。
 ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 次に、道路・橋梁の維持管理については、不良箇所の維持修繕を行うとともに、部分改良及び舗装工事等を実施します。
 また、町道東郷南北線等において道路照明灯の更新を行うなど安全な道路環境の実現に向けて取り組みます。

 水道事業については、本年4月から大阪広域水道企業団により運営されることとなります。
 事業の効率化や運営基盤の更なる強化が図られ、良質な水道水の安定供給がなされていくものと考えています。

 汚水処理については、し尿処理施設の処理方式を下水道放流方式に改造することにより、生活排水処理の合理化と維持管理費用の抑制に努めます。

(5)自治体経営における資源配分の効率化

 人口構造等が確実に変化する中で、将来にわたって担うべき機能が発揮される持続可能な行政への転換が求められています。
 第33次地方制度調査会では、新型コロナウイルス感染症で顕在化した課題、人口構造の深刻な変化や技術の進展などに適応していくための地方行政のあり方として、「デジタル・トランスフォーメーションの進展を踏まえた対応」がその一つに示されました。
 自治体DX(注2)の推進については、行政手続きのオンライン申請メニューの拡充やLINEアプリを活用した情報提供の充実などの取組を進めてきました。
 業務改革の更なる推進に向けて、人材育成や調査研究を推進し、住民サービスの向上につなげます。
 こうした取組に加えて、自治体業務の効率化に向けて、新たにAI議事録作成システムを導入し、職員の業務負担の軽減と生産性の向上を図ります。

3.むすびに

 国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別人口推計(注3)によると、2050年には東京都以外の全ての道府県で今よりも人口が減少すると予測されています。
 本町では2050年の人口は、現在から6割近く減少し、4,000人を下回る見込みとなっています。

 人口減少時代の中にあっても住民の暮らしを守り、地域社会の活力を持続的に支えていくために、未来に備えての自治体としての危機管理レベルを上げていく必要があります。

 いかなる時代、いかなる状況にあっても、住民の安全・安心を支え、満足度の高い住民サービスを提供し続けることが行政の使命です。
 そして、里山の暮らしとかけがえのない地域資源の恩恵を次代へ引き継ぐことが、将来世代に対する私たちの責任です。

 人口密度が低下しても、人と地域社会のウェルビーイングを向上させる。
 この命題に対して、人口減少時代に適応した自治体のあるべき姿を根本的に捉え直していかなければなりません。

 こうした中で、今後の行政需要や経営資源に関する長期的な見通しを整理するために、大阪府と共に「地域の未来予測」の作成に取り組んできました。

 将来的な課題が山積する中ではありますが、グローバリゼーションが進展し、様々な垣根が取り払われている社会経済情勢においては、市町村の境界内だけで最適な行政サービスを提供することには限界があり、住民の生活圏域を俯瞰して、需要側の立場からきめ細やかな行政サービスを広域的・複層的に考えていくことが不可欠であると認識しています。
 市町村間の垣根のない生活・経済圏域を形成することで、行政のサービス水準を維持・向上させなければなりません。

 こうした視点に立ち、新しい自治体のあり方を具体化していくために、広域連携の深化に向けて、大阪府や近隣市町との協議を進めていきます。
 自治体行政のアップデートを図り、行政水準の維持・向上を目指します。

 結びに、未来を生きる子や孫たちは、私たちの背中を見て成長します。
 いかに科学が発達し、多くの事象が数値化されようとも、哀(かな)しみや孤独、喜びや幸せを数値化することはできません。
 しかし、数値化できなくても「幸せ」は確実にあるのです。
 そして、私たちは幸せになるために生きています。
 今こそ、私たちは与えられたフィールドにおいてトライアンドエラーを実践し、私たちの日常に笑顔が輝く、活力ある町を創らなければなりません。

 町政の舵取り役としての重責を胸に刻み、住民の皆様に寄り添った行政運営を誠実に成し遂げてまいります。
 そして、次の世代へと誇りを持ってバトンを託していくために、町政の発展に全力を尽くすことをお約束します。
 どうか皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 以上、今議会に提案いたします予算の内容を中心に、今後重点的に取り組む施策の基本的な方針について申し述べました。
 本議会に提案いたしております令和6年度予算をはじめ、関係諸議案に対しまして議員各位の慎重なご審議を賜り、各般の施策が実現できますことを念願いたしまして、町政運営方針といたします。


(注1)ネイチャーポジティブ
 「ネイチャーポジティブ(自然再興)」とは、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることを意味します。

(注2)DX
 DX(デジタル・トランスフォーメーション)。ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることを言います。

(注3)地域別人口推計
 日本の地域別将来人口推計(令和5(2023)年推計)

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更新日:2024年03月04日