「宿野四区・大里・柏原地区」の産業用地への土地利用転換の経緯について
本町は長きにわたり、農業振興を中心としたまちづくりに取り組んできました。昭和50年代から農業振興と農村の近代化を目的として、ほ場整備による基盤整備に取組み、また平成7年には市街化区域と市街化調整区域の区域区分を決定し、無秩序な開発行為を抑制しつつ、美しい農村風景を守ってきました。
しかし時代とともに、本町の人口は年々減少し、また少子高齢化が進展する中で、近年では農業においても、耕作者の高齢化、担い手不足といった課題が浮彫りとなり、地域活力の低下が懸念されるところです。
そのような課題の解決に向け、時代にあった地域の魅力を引き出す土地利用を行うため、今までにない「新しい町の骨格を創る」ことを目的に、高度産業農業や企業の農業参入の促進、新名神高速道路の開通による地の利をいかした多様な産業の誘致などに向けた取組を進めているところです。
大阪市、神戸市、京都市といった大都市の中央に位置する本町の立地特性を活かした企業誘致をめざし、平成29年に「能勢町産業用候補地の確保に関する土地利用方針」を策定しました。また、平成30年には、企業立地の促進や雇用の拡大及び企業の流出防止を図るため、「能勢町企業立地促進条例」を制定、同年に、産業の振興及び地域の活性化を図るため、「市街化調整区域の幹線道路沿道等における工場等の立地を目的とした開発許可基準」を策定し、企業が参入しやすい環境を整備し、新たな産業の誘致に取組んでいます。
しかしながら、本町においては産業系企業の立地が可能な市街化区域の面積が総面積の1%(103ha)と限られており、加えて住宅や商業施設など、それぞれの用途に即した土地利用が既に実施されていることから、新たな土地開発等企業の需要に応えられず、誘致に至っていないのが現状です。
令和2年に町内の農家の方を対象として農地利用に関するアンケートを実施した結果、今後10年で7割の方が営農困難になると回答されており、また、農業以外の企業誘致についても7割を超える方が必要と回答されています。
このような状況を打開するため、「第6次能勢町総合計画」では、多様な産業を誘致する用地として、市街化調整区域の農地について利活用を図るとともに、市街化区域への編入も視野に入れた取り組みを進めていく方向性をお示ししたところです。
市街化区域への編入には、「1.市街化区域に隣接し市街化区域と一体となったまちづくりが可能であること」、「2.府道等の幹線道路の沿道であること」などの条件があることより、市街化区域に隣接し、幹線道路の沿道、下水道等のインフラの整備を考慮し、「能勢町産業用候補地の確保に関する土地利用方針」に基づき、候補地を選定しました。
候補地の一つである、「宿野四区・大里・柏原地区」の農地において、令和4年から、産業用地への転換の可能性について関係機関と調整するとともに、地権者の意向を確認するための説明会を実施してきました。
地権者の方へのアンケート調査の結果では、農地として利用すると回答された方のうち、「自分の代まで、当面(10年以内)は農地として利用する」と回答された方が75%で、「将来も農地として利用する」と回答された方は全体の5%といった結果になっています。
本町はこれまで、無秩序な開発行為を抑制し、本町の豊かな自然資源や歴史・文化資源を貴重な財産として捉え、それらの保全を前提としたまちづくりを進めてきました。今後のまちづくりにおいても、引き続きそれらの保全は実施してまいりますが、先のとおり人口減少や少子高齢化など様々な問題に直面している状況下において、持続可能なまちづくりを進めるためには、市街地整備と自然環境等保全との適切なバランスを図っていくことも重要と考えております。
令和5年度から、町の将来像やその実現のための都市計画に関する基本的な方針となる「都市計画マスタープラン」の改定に取組み、「都市的利用ゾーン」「農業集落ゾーン」「自然活用・保全ゾーン」の区域毎に、整備方針の検討を行ってきました。「都市的利用ゾーン」では、新たな産業や施設の立地場所として活用を図るため、市街化区域編入検討地区を示し、パブリックコメントや能勢町都市計画審議会における審議を経て、「能勢町都市計画マスタープラン」を令和6年に改定しました。
都市計画マスタープラン改定時のアンケート調査(令和5年度)の結果では、能勢町から転出したい理由として「店舗や医療施設が少なく、生活に不便だから」が 85%と最も多く、次いで「通勤や通学に不便だから」が 60%、「働きたい企業などが少ないから」が 36%となっています。
町内で創業されている企業の方からも、設備を拡張したいが場所がないとの声をいただいております。
これらを踏まえ、雇用の拡大及び企業の町外流出の防止を図り、将来にわたり持続可能なまちづくりを推進していくためには、産業用地の創出が非常に重要になってくるものと考えております。
加えて、町外からの就労者による昼間人口の増加等が地域の活性化につながり、インフラ設備等の住民負担の軽減や固定資産税等の収入増加も見込まれることから住民福祉の向上にも寄与するものと期待しているところです。
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まちづくり推進部都市整備課産業政策担当(西館2階)
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更新日:2025年04月01日